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社宅と借上社宅の違いとは?企業が導入するならどちらがおすすめか解説

【監修】角名 達矢

(株)ホンネ不動産創業者、宅地建物取引士、不動産業界20年以上。22歳の時に就職した会社にて不動産業界の慣例・慣習があまりにもひどく衝撃を受け、実務を経験した後27歳で独立。TVメディアに多数出演。賃貸仲介・売買仲介ともに経験豊富です。

社員向けの住宅制度を検討している企業担当者の中には、「社宅と借上社宅は何が違う?」 「自社ではどちらを導入すべき?」 「管理負担は変わる?」 「コスト面の違いは?」と疑問を持つ方も多いでしょう。

どちらも福利厚生として活用される制度ですが、仕組みや運用方法、企業にかかる負担には大きな違いがあります。

この記事では、社宅(社有社宅)と借上社宅の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて、不動産会社の目線で分かりやすく解説します。

結論:現在は借上社宅を導入する企業が主流

まず結論からお伝えすると、現在は社有社宅を新たに建設するよりも、借上社宅制度を導入・活用する企業が増えています。

社宅は、企業が自ら土地や建物を購入・所有する制度です。一方、借上社宅は、企業が民間の賃貸物件を借りて社員へ貸与する制度です。近年は、以下の理由から借上社宅が主流となっています。

  • 土地や建物を買う「初期費用」を大幅に抑えられる
  • 建物の修繕などの「管理負担」が少ない
  • 社員が会社の規定の範囲内で物件を選べる

それぞれの詳しい違いや特徴を見ていきましょう。

社宅と借上社宅の違いとは?

【図解】社有社宅と借上社宅の「仕組みの違い」

「社宅」と一口に言っても、所有形態によって2つに分類されます。それぞれの定義と違いを解説します。

社宅(社有社宅)とは

会社が自社の資金で土地や建物を購入、または建設し、それを社員に安く貸し出す制度です。一般的に「社有社宅」と呼ばれます。一棟丸ごと会社の持ち物であるため、同じ建物に同じ会社の社員が多く住むことになります。

借上社宅とは

会社が民間の賃貸マンションやアパートを法人名義で契約し、社員に社宅として利用させる制度です。

社員は一般の賃貸物件の中から、会社の規定(家賃上限や間取りなど)の範囲内で好きな部屋を選んで住むことができます。

両者の違いを比較表で解説

社宅と借上社宅の違いを、企業側の視点から分かりやすく比較表にまとめました。

項目社宅(社有社宅)借上社宅
物件の所有者会社民間の大家(賃貸)
導入の初期投資非常に高い(土地・建物代)低い(敷金・礼金等のみ)
建物の管理負担大きい(修繕・清掃を会社が手配)小さい(管理会社が対応)
社員の自由度低い(決められた物件に住む)高い(物件を選べる)
拠点の移動困難(売却の手間がかかる)容易(解約して他で借りるだけ)

社宅のメリット・デメリット

自社で物件を所有する『社宅(社有社宅)』には、どのような特徴があるのでしょうか。

長期的な資産になる

最大のメリットは、土地や建物が「会社の資産」になることです。将来的に不要になった場合は、売却して現金化したり、別の事業用地として転用したりすることができます。

福利厚生として活用しやすい

自社物件のため、「新入社員は家賃5,000円」など、会社の裁量で家賃設定を自由にコントロールしやすいのも特徴です。また、社員同士のコミュニケーションが生まれやすい環境を作ることができます。

維持管理コストがかかる

デメリットは、建物の老朽化に伴う大規模修繕、日々の清掃、固定資産税の支払いなど、ランニングコストと管理の手間が膨大になることです。

空室リスクがある

「社員が減った」「社員が社宅に入りたがらない」といった理由で空室が出ても、維持費や税金はかかり続けます。経費の無駄遣いになりやすいのがネックです。

借上社宅のメリット・デメリット

現在主流となっている『借上社宅』のメリットとデメリットを解説します。

初期費用を抑えられる

不動産を購入する必要がないため、敷金・礼金などの一般的な賃貸の初期費用だけで手軽にスタートできます。まとまった資金を用意しづらい中小企業でも導入しやすいのが最大のメリットです。

社員が好きな物件を選びやすい

「職場から近い」「ペットが飼える」「セキュリティが充実している」など、社員本人が希望する条件で物件を選べるため、福利厚生としての満足度が非常に高くなります。

転勤対応しやすい

事業所の移転や社員の転勤があった場合でも、現在の賃貸を解約し、新しい赴任先で別の賃貸を借り直すだけで柔軟に対応できます。

契約管理が必要になる

デメリットは、物件ごとに貸主(大家さん)や管理会社が異なるため、入居審査、家賃の支払い先、更新時期、退去時のルールなどがバラバラになり、総務・人事担当者の「契約管理の負担」が増えやすい点です。

借上社宅を導入する企業が増えている理由

【図解】借上社宅導入のメリット

なぜ今、多くの企業が社有社宅を手放し、借上社宅へと移行しているのでしょうか。その背景には、採用や組織作りにおける強いメリットがあります。

採用強化につながる

「好きな部屋に住めて、家賃は会社が負担してくれる」という借上社宅制度は、求職者にとって非常に魅力的な条件です。新卒・中途を問わず、優秀な人材を獲得するための強力なアピールポイントになります。

社員満足度向上につながる

住環境の充実は、社員のモチベーションや定着率(離職防止)に直結します。「古い社有社宅に強制的に住まわされる」よりも、「自分の希望に合ったマンションに住める」方が、現代のニーズにマッチしています。

住宅手当より運用しやすい

毎月の給与に上乗せして「住宅手当」を支給すると、給与総額が上がるため、会社と社員の双方が負担する社会保険料が増加します。

一方、借上社宅制度では、一定の要件を満たしたうえで社員から適正な自己負担額(賃貸料相当額以上)を徴収していれば、住宅手当を現金支給する場合と比べて、会社・社員双方の社会保険料や税負担を抑えられるケースがあります。

また、企業側は住宅制度を福利厚生として明確に運用しやすく、社員にとっても実質的な住居費負担の軽減につながります。

福利厚生としてアピールしやすい

自社HPの採用サイトなどで「借上社宅制度あり(家賃の〇%を会社負担)」と明記することで、社員を大切にするホワイト企業としてのブランドイメージ向上に繋がります。

不動産会社のリアルな裏話:社員の定着率にも直結する「選べる」メリット
昔ながらの「上司と同じ社有社宅に住む」という環境は、プライベートの時間が確保しづらく、若手社員には敬遠されがちです。近年はプライベートを重視する社員も多く、勤務先が所有する社宅よりも、自由に物件を選べる借上社宅を希望するケースが増えています。

上記のようなことから、近年は、住宅手当を廃止・縮小し、借上社宅制度へ切り替える企業も増えています。

どんな企業に借上社宅がおすすめ?

借上社宅は、特に以下のような企業に強くおすすめできます。

従業員数10〜300名程度の企業

社有社宅を建設するほどの莫大な資金はないものの、福利厚生を充実させて会社を成長させていきたい中小・ベンチャー企業に最適です。1部屋からでも導入可能です。

採用強化したい企業

「地方から優秀な新卒を採用したい」「同業他社から条件面で引き抜きたい」という場合、借上社宅制度は引越し費用の負担を減らせるため、採用活動におけるアピールポイントになります。

転勤者が多い企業

全国に支店があり、定期的なジョブローテーションや単身赴任が発生する企業の場合、必要な時に必要な場所ですぐに部屋を確保できる借上社宅が圧倒的に有利です。

住宅制度を整備したい企業

現状「住宅手当」を現金で支給している企業が、社会保険料の適正化や節税効果を狙って借上社宅制度に切り替えるケースも増えています。

借上社宅導入時によくある課題

メリットが多い借上社宅ですが、導入後に「実務の壁」にぶつかる企業も少なくありません。代表的な4つの課題を紹介します。

契約管理が大変

社員が別々の物件を選ぶため、物件ごとに契約書の内容(違約金やペット不可などの特約)が異なります。誰がどの物件にどのような条件で住んでいるのか、正確に把握・管理する手間がかかります。

借上社宅の家賃の支払いフローと負担割合についてはこちら

https://honnne.com/blog/archives/27789

更新管理が煩雑

物件ごとに契約時期が異なるため、毎月のようにどこかの物件で「更新手続き」が発生する可能性があります。更新料の支払い漏れや書類の提出遅れがないよう、スケジュール管理が必要です。

法人契約の賃貸更新の手続きについてはこちら

https://honnne.com/blog/archives/27925

退職時の対応が必要

社員が退職する際、「そのまま住み続けたい」と言われた場合、法人契約から個人契約への切り替え(再契約)や、敷金の精算、退去費用の負担割合などで揉めるケースがよくあります。

退職に伴う社宅の取り扱いについてはこちら

https://honnne.com/blog/archives/27873

複数拠点管理が大変

「東京本社と大阪支社で、それぞれ現地の不動産会社とやり取りしなければならない」など、エリアがまたがると手配の手間が倍増し、担当者のリソースを圧迫してしまいます。

借上社宅制度の導入で困ったら不動産会社への相談がおすすめ

借上社宅制度は、採用力強化や社員の満足度向上、さらにはコスト削減効果まで期待できる、非常に優れた福利厚生です。

しかし、導入にあたっては「社宅規定の作成」から「物件手配」「契約書の確認」「退去・更新の管理」まで、専門知識とマンパワーが必要になるのも事実です。

「借上社宅制度を導入したいが、運用や契約管理に不安がある」「トラブルを防ぐための社宅ルールをどう作ればいいか分からない」とお悩みの場合は、法人契約の実務に強い不動産会社へ相談することで、担当者の負担を大幅に軽減できます。

ホンネ不動産法人部では、法人契約・借上社宅・社宅制度導入の専門的なサポートを行っています。

1部屋からの手配はもちろん、社宅制度の立ち上げサポートから契約内容の精査までワンストップでご提供。会社も社員も"得をする仕組み"を不動産のプロが一緒に整えます。

ぜひお気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

社宅と借上社宅の一番大きな違いは何ですか?

一番の違いは「物件の所有者」です。社宅は会社が土地や建物を所有するのに対し、借上社宅は民間の大家さんから賃貸物件を借りるという違いがあります。

借上社宅は中小企業でも導入できますか?

もちろん可能です。不動産を購入するような莫大な初期費用がかからず、賃貸の敷金・礼金程度でスタートできるため、従業員数が数名〜数十名規模の中小企業やベンチャー企業でも多く導入されています。

借上社宅は節税になりますか?

借上社宅制度では、一定の要件を満たすことで、住宅手当を現金支給する場合と比べて社会保険料負担を抑えやすくなるほか、福利厚生制度として効率的に運用できるメリットがあります。

また、会社が負担する借上社宅の費用は福利厚生費や地代家賃などとして経費計上できるため、税務面でのメリットが期待できるほか、社員の住居支援や福利厚生の充実にもつながります。

住宅手当と借上社宅はどちらがおすすめですか?

企業と社員、双方のメリットを考えると『借上社宅』がおすすめです。

住宅手当は給与扱いになるため所得税や社会保険料が上がりますが、借上社宅ならその負担を抑えつつ、実質的な手取りを増やすことができます。

借上社宅の契約は誰が行いますか?

契約の主体はあくまで「会社」となるため、企業の総務や人事などの担当部署が行います。

まとめ:自社のフェーズに合わせて借上社宅の活用を

社宅と借上社宅の違いについて、重要なポイントをおさらいしておきましょう。

  • 社宅(社有社宅)は自社所有で資産になるが、初期費用や管理の負担が大きい
  • 借上社宅は賃貸で初期費用が安く、社員が選べるため満足度が高い
  • 採用強化や運用の柔軟性の観点から、近年は借上社宅制度を採用する企業が増加
  • 借上社宅の課題である「契約管理の手間」は、不動産会社などのプロに頼るのが得策

これから福利厚生を充実させたいとお考えの企業にとって、借上社宅は非常にコストパフォーマンスに優れた選択肢です。自社に最適なルールを構築し、社員が長く活躍できる環境を整えていきましょう。

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ホンネ不動産法人部では、法人契約・借上社宅・社宅制度導入の専門的なサポートを行っています。

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