法人契約の賃貸(借上社宅)に住んでいる社員の方や、企業の総務・人事担当者の中には、「更新時は何をすればいい?」 「更新料はかかるの?」 「会社と本人、どちらが手続きする?」 「更新を断られることはある?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
法人契約の賃貸でも、基本的な更新の流れは個人契約と似ています。しかし、あくまで「会社」が契約者となるため、社内稟議や規定の確認など、実務において注意すべき特有のポイントがあります。
この記事では、法人契約の賃貸更新に関する手続きの流れや更新料の負担割合、よくあるトラブルとその対策について、不動産会社の目線で分かりやすく解説します。
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結論:法人契約の賃貸更新は契約内容の確認が重要
まず結論として、法人契約の賃貸更新では、「契約条件の変更がないか確認し、期限までに必要な手続きを行うこと」が最も重要です。
法人契約の更新手続きでは、単に書類にサインするだけでなく、以下の項目をしっかりと確認する必要があります。
- 更新料や各種手数料の金額
- 家賃や管理費の変更(値上げ)の有無
- 現在の入居者情報の正確性
- 自社の「社宅管理規定」との照らし合わせ
管理会社から更新通知が届いたら、そのまま放置せず、早めに会社(担当部署)と管理会社・不動産会社の間で確認を進めることがトラブルを防ぐカギとなります。
法人契約の賃貸更新とは?
そもそも賃貸の「更新」とはどのような手続きなのか、個人契約との違いも交えて解説します。
契約期間満了後も住み続けるための手続き
一般的な賃貸借契約(普通借家契約)は、「2年間」などの契約期間が定められています。この期間が満了するタイミングで、「今後も引き続きこの部屋を借ります」という意思表示を行い、契約期間を延長する手続きが「更新」です。
個人契約との違い
個人契約の場合、管理会社からの更新案内は入居者のポストに直接投函され、本人が書類記入と振り込みを行って完結します。
しかし法人契約の場合は、契約者である「会社(本社や指定された担当部署)」宛てに書類が送付されるのが基本です。会社印(代表者印)の捺印や、法人口座からの振り込み手続きが必要になるため、社内での稟議や処理に時間がかかるのが大きな違いです。
法人契約ならではの注意点
会社の代表者が変わっていたり、本社が移転していたりする場合は、更新のタイミングで管理会社に変更手続き(覚書の締結など)を行う必要があります。
また、社員が結婚などで同居人を増やしている場合、その申請が漏れていないかの確認も重要です。
法人契約の賃貸更新の流れ
管理会社から更新の案内が来てから手続きが完了するまでの、一般的な5つのステップを解説します。

更新通知が届く
契約満了日の1〜3ヶ月前頃になると、管理会社から会社(契約者)または物件(入居者)宛てに「更新のお知らせ」や「更新契約書」が郵送で届きます。
契約内容を確認する
届いた書類に目を通し、「次回契約からの家賃に変更はないか」「更新料の金額は適切か」「火災保険や家賃保証会社の更新費用はいくらか」を確認します。
必要書類を提出する
更新契約書に必要事項を記入し、管理会社の指定する方法で締結します。会社の押印が必要な場合もあれば、電子契約で完結する場合もあります。
物件によっては、最新の会社情報や入居者の身分証コピーなどの添付書類が求められることがあります。
更新契約書を締結する
捺印した書類を管理会社へ返送し、貸主(大家さん)側の捺印が済んだ控えが手元に戻ってくれば、書類上の締結手続きは完了です。
更新料を支払う
期日までに、指定された口座へ更新料や火災保険料などを振り込みます。支払いが遅れると更新手続きが完了しないため、経理部門との連携が必須です。
法人契約の更新時に必要な書類
更新手続きの際、管理会社から提出を求められやすい書類を4つご紹介します。(※物件によって不要な場合もあります)
登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
法人としての実態が現在も正しく存在しているか、代表者や資本金に変更がないかを確認するため、発行から3ヶ月以内の登記簿謄本の提出を求められることがあります。
会社情報(会社概要など)
上場企業や規模の大きい会社の場合、謄本の代わりに最新の会社案内パンフレットや、ホームページの会社概要を印刷したもので代用できるケースもあります。
入居者情報
実際に住んでいる社員が契約時から変わっていないかを確認するため、社員証のコピーや在籍確認書類、本人確認書類などの提出を求められることがあります。
※必要書類は管理会社や物件によって異なります。
その他管理会社指定書類
火災保険の加入申込書や、家賃保証会社の継続申込書など、賃貸契約に付随する各種サービスの更新書類への記入も同時に求められるのが一般的です。
法人契約の更新料は誰が支払う?
賃貸の更新時には「新家賃の1ヶ月分」などの更新料がかかる地域が多くあります。法人契約の場合、この費用は誰が負担するのでしょうか。
会社が負担するケース
福利厚生の一環として社宅を提供している企業では、更新料や更新事務手数料、火災保険料などを「全額会社が経費として負担する」と規定しているケースが非常に多いです。
社員が一部負担するケース
会社の規定によっては、「更新料は会社が払うが、火災保険料は入居者(社員)が負担する」「家賃の負担割合(例:会社7割、社員3割)と同じ比率で更新料も按分する」といったルールを設けている企業もあります。
借上社宅の場合
給与から一定額を天引きする借上社宅制度の場合、更新料に関する取り決めは入社時や制度利用時に交わす「社宅管理規定」に必ず記載されています。更新のタイミングでお金に関する認識のズレが起きないよう、事前に確認しておくことが大切です。
借上社宅の家賃の支払い方法や会社負担・社員負担の違いについて、詳しくはこちら
法人契約の更新時によくあるトラブル
法人特有の事情によって起こりやすい、4つの更新トラブル事例を紹介します。

更新通知を見落としていた
管理会社が「入居者(物件)」宛てに通知を送ったものの、社員が「会社宛ての書類だ」と勘違いして放置してしまったり、逆に「本社」に届いた通知が人事部の中で埋もれてしまったりして、期日を過ぎてしまうトラブルです。
更新料が想定より高かった
「更新料1ヶ月分」だけだと思っていたら、更新事務手数料・火災保険料・家賃保証会社の年間更新料・各種サポートサービス費用などが合算され、想定外の出費になって社内稟議が通らず揉めるケースです。
契約条件が変更されていた
更新書類に「次回契約より家賃を5,000円値上げする」と記載されていたのに、担当者がよく見ずに捺印してしまい、経理の引き落とし時に発覚して大問題になるケースです。条件変更がある場合は、必ず社内で協議し、合意できない場合は管理会社と交渉する必要があります。
退職や異動のタイミングと重なった
「来月退職する社員の社宅」や「数ヶ月後に転勤が決まっている社員」の部屋の更新時期が来てしまったケースです。
無駄な更新料を負担しないためにも、退去予定がある場合は早めに退去日程を確定し、更新手続きを進める前に管理会社へ相談しましょう。契約満了日や解約予告期間との兼ね合いによっては、更新をせずに退去できる場合もあります。
退職に伴う借上社宅の取り扱いについてはこちら
法人契約の更新をしない場合はどうなる?
もし「条件に納得できない」「退去が決まっている」などの理由で更新をしない場合、契約はどうなるのでしょうか。
解約になるケース
更新を拒否し、契約期間の満了日をもって退去(明け渡し)をする通常のケースです。
解約する場合は「解約の1〜2ヶ月前までに予告する」というルールが適用されるため、更新しないと決めたらすぐに管理会社へ「解約通知書」を提出しなければなりません。
再契約になるケース
物件が「定期借家契約(期間が来たら必ず終了する契約)」だった場合、そもそも「更新」という概念がありません。引き続き住む場合は、期間満了とともに一度契約を終了させ、新規で「再契約」を結び直す必要があります。
退去が必要になるケース
家賃滞納や重大な契約違反がある場合には、貸主から契約解除や更新拒絶を主張されることがあります。
普通借家契約では、貸主による更新拒絶には正当事由が必要ですが、正当事由が認められて契約終了となった場合は退去しなければなりません。
法人契約の賃貸更新で困ったら不動産会社への相談がおすすめ
法人契約の更新手続きは、
- 契約条件(値上げ等)の妥当性の判断
- 更新料や保険料の費用負担ルール
- 自社の社宅規定とのすり合わせ
- 社員の退職・異動予定との兼ね合い
など、個人契約よりも確認すべき項目が多く、総務・人事担当者様の業務負担になりがちです。「更新通知が来たが、内容が適正かわからない」「複数の社宅の更新時期がバラバラで管理しきれない」といったお悩みを抱える企業様も少なくありません。
ホンネ不動産法人部では、法人契約・借上社宅・社宅制度導入の専門的なサポートを行っています。
新規の社宅手配だけでなく、既存の借上社宅の更新手続きのサポートや、契約内容の見直しに関するご相談も承っております。
法人契約の専門知識を持つプロがしっかりサポートいたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
よくある質問(FAQ)
法人契約でも更新料はかかりますか?
物件の所在地(関東圏は多い傾向など)や契約内容によって異なりますが、契約書に「更新料は新賃料の〇ヶ月分」と記載されていれば、法人契約であっても個人と同様に支払い義務が発生します。
法人契約の更新手続きは誰が行いますか?
原則として、契約者である「会社(総務・人事などの担当部署)」が行います。入居している社員本人が勝手に書類にサインをして手続きを進めることはできません。
更新時に審査はありますか?
通常は、個人契約の新規入居時のような厳しい入居審査はありません。
ただし、家賃保証会社を利用している場合は、保証会社の社内基準で継続審査(過去に家賃滞納がなかったか等の確認)が行われることがあります。
更新せずに退去することはできますか?
可能です。ただし、契約書に「解約の〇ヶ月前までに予告すること」と定められているため、更新通知が来てから慌てて退去を伝えても、予告期間分の家賃(または違約金)が発生する可能性があるため注意が必要です。
更新時に契約条件が変わることはありますか?
周辺の家賃相場の変動や、物件の設備追加などを理由に、貸主(大家さん)から家賃や管理費の値上げを提示されることがあります。双方が合意して初めて変更が成立します。
まとめ
法人契約の賃貸物件の「更新」に関する重要ポイントをおさらいします。
- 更新手続きは入居者ではなく、契約者である「会社」が行う
- 書類への捺印だけでなく、家賃変更や保険料の金額チェックが必須
- 更新通知が会社と入居者のどちらに届くか、社内で連携しておく
- 更新料の負担割合は、会社の「社宅管理規定」に従う
更新の手続き自体は難しいものではありませんが、「社内での稟議」や「経理での支払い手続き」に時間がかかるのが法人契約の特徴です。通知が届いたら後回しにせず、ゆとりを持って手続きを進めるようにしましょう。
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