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賃貸の申込キャンセルは多い?よくある理由と契約前に注意すべきポイントを解説

【監修】角名 達矢

(株)ホンネ不動産創業者、宅地建物取引士、不動産業界20年以上。22歳の時に就職した会社にて不動産業界の慣例・慣習があまりにもひどく衝撃を受け、実務を経験した後27歳で独立。TVメディアに多数出演。賃貸仲介・売買仲介ともに経験豊富です。

「賃貸物件の申し込みをしたけれど、やっぱりキャンセルしたい…」「ペナルティでお金をとられたり、ブラックリストに載ったりしないかな?」と不安に思っていませんか?

勢いで申し込みをしたものの、後から初期費用の高さに気づいたり、もっと条件の良い物件を見つけてしまったりして、キャンセルを考えるのは決してあなただけではありません。しかし、「いつキャンセルするか(契約成立の前か後か)」によって、お金が返ってくるかどうかが大きく変わります。

この記事では、不動産のプロ視点で以下のポイントを詳しく解説します。

  • 賃貸の申込キャンセルの実態とよくある理由
  • いつまでなら無料でキャンセルできるのかの境界線
  • お金が返ってくるケースとトラブルを防ぐ伝え方

今まさにキャンセルを迷っている方は、ぜひ最後までお読みください。

賃貸の申込キャンセルは多い?まず結論

「せっかく手続きしてくれた不動産会社に申し訳ない…」と悩むかもしれませんが、まずは賃貸業界におけるキャンセルの実態(結論)からお伝えします。

申込後にキャンセルされるケースは珍しくない

結論から言うと、賃貸の申し込み後にキャンセルが発生することは一定数あり、決して珍しいことではありません。

部屋探しは人生の大きな決断であり、数日考えて気が変わったり、家庭の事情が急変したりすることは誰にでも起こり得るからです。特によくあるキャンセル理由の一つが、他の物件に変更するケースです。

不動産会社も「少なからずキャンセルは出るもの」として業務を行っています。

ただし正確なキャンセル率は物件や時期によって異なる

具体的なキャンセル率は公表されていませんが、引越しシーズン(2月〜4月)など、多くの人が慌てて部屋を探す時期は「とりあえずキープ」として申し込む人が増えるため、キャンセル率も高くなる傾向にあります。

逆に、閑散期にじっくり探して申し込んだ場合はキャンセルされにくいなど、時期や物件の人気度によって変動します。

契約前ならキャンセルできるケースが多い

法的な観点で見ると、賃貸借契約が正式に成立する前であれば、申込者の都合でキャンセルすることは可能です。

違約金などのペナルティが発生することも基本的にはありません。「申し込み=絶対に入居しなければならない」というわけではないので、まずは安心してください。

キャンセルするなら早めに連絡することが大切

キャンセル自体は問題ありませんが、一番やってはいけないのが「言い出しにくくて放置すること(無断キャンセル)」です。

あなたが申し込んでいる間、その物件は他の希望者を断って募集を止めるケースが多いです。キャンセルを決断したなら、1分1秒でも早く担当者に連絡するのが最低限のマナーです。

賃貸の申込キャンセルが起きる主な理由

他の人はどのような理由で申し込みを取り下げているのでしょうか?賃貸の申込キャンセルでよくある理由をまとめました。

他にもっと良い物件が見つかった

特に多いとされるのがこの理由です。

Aという物件に申し込んだ後も、なんとなく不動産ポータルサイト(SUUMOやHOME'Sなど)を見続けてしまい、「家賃が安くて駅に近いBという物件を見つけてしまった」というケースです。情報が溢れている現代では非常に多いキャンセル理由です。

初期費用が想定より高かった

申し込みを進め、不動産会社から「初期費用の精算書(見積書)」が出てきた段階で、「思っていたより数十万円も高かった!」と驚いてキャンセルするケースです。

特に、消臭除菌代や安心サポートなどのオプション費用が上乗せされており、予算をオーバーしてしまった場合に起こります。

審査中に不安になった

入居審査の結果を待っている間に冷静になり、家賃や部屋の条件について不安が大きくなってキャンセルするケースもあります。

「本当にこの家賃を毎月払い続けられるだろうか?」「あの部屋、日当たりが悪かった気がする」とネガティブな要素が気になり始め、キャンセルを選ぶ人も少なくありません。

家族や同居人に反対された

一人暮らしの場合でも、連帯保証人になってくれる親に事後報告したところ「家賃が高すぎる」「治安が悪い地域だ」と猛反対されてキャンセルを余儀なくされるケースです。

同棲やルームシェアの場合は、パートナーとの意見の不一致が原因で白紙になることもよくあります。

勤務先・引越し時期・入居日が変わった

「転勤になる予定だったが取り消しになった」「内定先が変わった」など、勤務先の事情によるキャンセルです。

また、入居を急いでいたのに管理会社から「リフォームが終わるのが1ヶ月後になる」と言われ、入居希望日と合わずにキャンセルせざるを得ない事態も発生します。

物件の条件や周辺環境に気になる点が出てきた

申し込み後に物件の周辺を自分で歩いてみたところ、「夜になると街灯がなくて真っ暗だった」「隣の建物の騒音がひどかった」「近くにスーパーがない」といった生活上の大きなデメリットに気づき、入居を取りやめるパターンです。

賃貸申込後はいつまでキャンセルできる?

キャンセルにおいて最も重要なのが「タイミング」です。「申込みをキャンセルする段階」と「契約を解除する段階」の違いをみてみましょう。

状況基本的な扱い費用・返金のポイント
申込み後・契約成立前申込みのキャンセル契約前の申込み撤回なら、預り金は返還対象
契約成立後・入居前契約の解約契約書の解約条件に従う
入居開始後契約の解約解約予告や違約金など、契約条件を確認

では「審査に通った直後なら?」「審査中の場合は?」「という疑問について、具体的なタイミングごとに見ていきましょう。

申込直後ならキャンセルしやすい

申込書を記入・提出した直後(審査開始前)であれば、手続きがほとんど進んでいないため、電話一本でスムーズにキャンセルが可能です。

不動産会社へのダメージも最小限で済みます。

審査中でもキャンセルできるケースが多い

保証会社や大家さんによる”入居審査中”でも、申込みを取り下げることは可能です。一般的には契約成立前の段階であれば、契約上の違約金などが発生するケースは多くありません。

ただし、契約成立の有無は個別の状況によって異なるため、キャンセルする場合はできるだけ早く不動産会社に確認しましょう。

審査通過後は早めの判断が必要

審査を無事に通過し、「初期費用の精算書」が発行された後のキャンセルは、不動産会社や大家さんに大きな落胆を与えます。

契約書の作成準備なども始まっているため、もしこの段階で辞退する場合は、理由を添えて誠実に、一刻も早く連絡しなければなりません。

契約書に署名・捺印する前か後かで扱いが変わる

賃貸の申込みをキャンセルする際に重要なのは、賃貸借契約が成立しているかどうかです。

賃貸物件の契約では、重要事項説明を受け、契約書の内容を確認したうえで契約を締結します。民法上、契約は当事者双方の合意によって成立しますが、実務では、借主と貸主の双方が賃貸借契約書に署名・捺印等(電子契約の場合は電子署名等)するなどして契約を締結するのが一般的です。

そのため、申込みを取りやめたい場合は、署名・捺印の有無だけでなく、貸主・借主双方の合意の状況や、すでに賃貸借契約が成立しているかを不動産会社に確認しましょう。

鍵渡し後・入居開始後はキャンセルではなく解約扱いになる

すでに鍵を受け取ったり、契約開始日(家賃発生日)を過ぎたりした場合は、一度も部屋に入っていなくても「解約」となります。

この場合、通常の退去と同じ扱いになるため、敷金礼金や仲介手数料は戻ってこず、さらに短期解約違約金などが発生する非常に大きな痛手を負うことになります。

賃貸の申込キャンセルで費用はかかる?

キャンセルした際、「ペナルティとしてお金をとられるのではないか」「払ったお金は全額戻ってくるのか」というお金の疑問にお答えします。

契約前なら費用がかからないケースが多い

重要事項説明を受け、契約書への署名・捺印等をする前で、”まだ賃貸借契約が成立していない場合”は、通常、申込みをキャンセルしたことによるキャンセル料や違約金は発生しません。

「審査が進んでいるから、家賃1ヶ月分を払ってほしい」などと請求された場合も、契約成立前なら、単に申込みをキャンセルしたことだけを理由に支払う必要があるとは限りません。

ただし、契約の成立は署名・捺印の有無だけでは判断できません。キャンセル料などを請求された場合は、請求の根拠や契約内容、支払ったお金の名目を確認しましょう。

申込金・預り金を払っている場合は返金条件を確認する

申し込みの際、申込みの意思表示として「申込金(預り金)」を不動産会社へ支払うことがあります。その際、「預かり証」を必ず受け取りるようにしましょう。

契約が不成立(キャンセル)となった場合には、不動産会社(宅建業者)はこの「預り金」を返還しなければならないことになっています。預り証(領収証)と引き換えに返金してもらいましょう。

契約後は返金されない費用が出る可能性がある

貸借契約を締結した後は、契約前の申込みキャンセルとは扱いが異なり、契約書の解約条件に従って手続きをする必要があります。

たとえば、礼金や仲介手数料などは「すでに発生した費用」として返金されないケースが一般的です。一方、敷金や前払いした賃料などは、契約内容や精算状況によって返金される場合があります。

そのため、契約後にキャンセルしたい場合は、「まだ入居していないから全額返金される」と考えず、契約書の解約条件や返金される費用をよく確認しましょう。

仲介手数料や初期費用の扱いは契約状況によって変わる

初期費用をすでに振り込んだ後であっても、まだ契約締結前の段階であれば、仲介手数料も含めて全額返金されるのが原則です(振込手数料は自己負担になる場合があります)。

ただし、大家さんや管理会社によって細かなルールが異なるため、支払う前に「契約前のキャンセルなら全額戻るか」を必ず念押ししておきましょう。

キャンセル前に支払い済み費用の内訳を確認する

もし初期費用を支払い済みでキャンセルを検討しているなら、まずは手元の「精算書」を確認し、不動産会社に「今キャンセルした場合、どの項目が返金されて、どの項目が返金されないのか」を書面やメール等で正確に確認することがトラブルを防ぐ防衛策となります。

賃貸申込をキャンセルすると不動産会社に迷惑?

賃貸申込のキャンセルは不動産会社に迷惑?無断キャンセルを避けて早めに連絡・相談すべき理由のイメージ

「キャンセルしたら怒られないかな…」と不安に思う方へ、不動産会社側の本音とマナーについて解説します。

キャンセル自体はあり得ること

不動産会社の営業マンも人間ですので、せっかく決まった案件がキャンセルになればショックを受けます。しかし、不動産取引においてキャンセルは日常茶飯事であり、「そういうビジネスだ」と割り切っている部分もあります。

正当な理由でのキャンセルであれば、問題ありません。

ただし連絡が遅いと貸主・管理会社・仲介会社に影響が出る

迷惑になるのは「キャンセルすること」自体ではなく、「連絡が遅れること」です。

あなたが申し込んでいる間、申込みを受けた不動産会社や管理会社では、その後の審査や契約準備などを進めています。連絡が遅れれば遅れるほど、関わるすべての人に多大な機会損失と無駄な作業を強いることになります。

キャンセルを決めたら、できるだけ早く連絡することが大切です。

無断キャンセルや音信不通は避けるべき

気まずいからといって、着信拒否をしたりメールを無視したりする「音信不通・無断キャンセル(バックレ)」は絶対にやってはいけません。

不動産会社も手続きを止めることができず大混乱になりますし、最悪の場合はあなたの信用情報(不動産業界内のネットワーク)に傷がつく可能性があります。

迷っている段階なら早めに相談する

「まだ決めていないけど、キャンセルするかもしれない」と迷っている段階でも、早めに担当者に相談するのがベストです。

「実は初期費用が高くて迷っている」「親に反対されている」と正直に伝えれば、初期費用の値下げ交渉をしてくれたり、親を説得する材料を揃えてくれたりと、解決策を提案してくれることもあります。

キャンセル理由は簡潔に伝えればよい

いざキャンセルを伝える際は、言い訳をダラダラと並べる必要はありません。

「家庭の事情で引越しが延期になった」「別の物件で契約することになった」など、簡潔かつ明確に理由を伝えるだけで十分です。

賃貸申込キャンセルでブラックリストに載ることはある?

「キャンセルするとブラックリストに載って、二度と家が借りられなくなるのでは?」という噂の真相を解説します。

通常のキャンセルだけで信用情報に傷がつくことは基本的にない

通常の賃貸物件の申込みをキャンセルしたこと自体が、CICやJICCなどの信用情報機関に「ブラック情報」として登録されるわけではありません。

正当な手続きを踏んで契約前にキャンセルしただけであれば、将来のローン審査などに悪影響が出ることはないので安心してください。

ただし管理会社や仲介会社に悪い印象が残ることはある

通常の申込キャンセルだけで、いわゆる「金融ブラック」になるわけではありません。ただし、キャンセルを繰り返した場合に、同じ不動産会社や管理会社から今後の申込みについて慎重に見られる可能性はあります。

個人情報が他社や保証会社間でどのように共有されるかは、各社の利用目的や同意内容によって異なるため、一律にはいえません。

虚偽申込や無断キャンセルは避ける

キャンセルしたという事実だけで、業界全体の『ブラックリスト』に登録されることはないからといって、年収などを偽る「虚偽申込」や、連絡を無視する「無断キャンセル」をして良いわけではありません。

関わった不動産会社や管理会社、保証会社が、自社防衛のために「トラブルのあった顧客」として独自の対応履歴を残しておくケースは十分に考えられます。

将来、同じ会社が関わる物件を借りようとした際、過去の不誠実な対応が原因で審査に通りにくくなるリスクがあるため、いかなる理由であっても必ず早め(誠実)に連絡を入れましょう。

同じ物件や同じ管理会社で再申込しにくくなる場合もある

一度キャンセルした物件に再度申し込む場合、貸主や管理会社が過去の経緯を踏まえて判断することがあります。

そのため「またキャンセルされるのでは?」と警戒され、貸主や管理会社から再申込みを断られる可能性があります。

また、同じ管理会社が扱っている別の物件の審査でも不利になることがあります。

誠実に早めに連絡すれば大きな問題になりにくい

結論として、事情が変わったことを正直に、一刻も早く伝え、丁寧に謝罪すれば、業界内でブラック扱いされるような大問題には発展しません。「どう対応したか」という誠実さが最も重要です。

賃貸申込をキャンセルする時の伝え方

賃貸申込をキャンセルする際のNG行動(無断キャンセル)と正しい伝え方(電話とメール)

いざキャンセルを決断した場合、どのように伝えればトラブルなくスムーズに終われるのか、具体的なステップを解説します。

できるだけ早く担当者に連絡する

決断したら、とにかく「今すぐ」連絡してください。「営業時間外だから明日にしよう」ではなく、メールだけでも先に送っておくことが大切です。

不動産会社の手続きをストップさせることが最優先事項です。

電話だけでなくLINE・メールでも記録を残す

キャンセルの連絡は、まず電話などで速やかに伝え、その後メールやLINEなど記録が残る方法でもキャンセルの意思を伝えておくと安心です。

メールやLINEで文面(記録)を残すことで「言った・言わない」のトラブル(特に申込金の返金など)を防ぐことができます。

【連絡手順】

  • 電話などで迅速にキャンセルの旨を伝える
  • 「先ほどお電話でお伝えした通り、今回の申し込みはキャンセルとさせていただきます」とメールやLINEを送り記録を残す。

キャンセル理由は簡潔でよい

担当者から「なぜですか?」と理由を聞かれると思いますが、正直に答えて構いません。

(例)

  • 「予算の都合がどうしてもつかなくなりました」
  • 「親族の反対にあい、引越し自体が延期になりました」
  • 「他社で紹介された別の物件で契約することにしました」

支払い済み費用がある場合は返金方法を確認する

「申込金(預り金)」や初期費用をすでに支払っている場合は、キャンセルの連絡と同時に返金の手続きについても確認します。

「お預けしている〇万円についてですが、いつ、どのように返金していただけますでしょうか?私の銀行口座をお伝えすればよろしいですか?」と明確に尋ねましょう。

次に探す予定がある場合は条件を整理し直す

もし今回のキャンセル理由が「他に良い物件があったから」ではなく、「条件に合わなかったから」であり、引越し自体は継続する場合は、「今回はキャンセルしますが、初期費用〇〇万円以内で別の物件を探してほしいです」と依頼すれば、不動産会社も引き続き喜んでサポートしてくれます。

賃貸申込をキャンセルしないために事前確認すべきこと

賃貸の申込キャンセルを防ぐための事前確認チェックリスト(初期費用・家賃・環境など)

そもそも、気まずいキャンセルを発生させないためには、申し込む前の「事前の確認」がすべてです。以下のポイントを必ずチェックしましょう。

初期費用の総額

家賃だけでなく、「敷金・礼金・仲介手数料・保証会社利用料・火災保険料・その他オプション」を含めた初期費用の概算を、申し込む前に必ず担当者に確認しましょう。

自分の予算内に収まっているかを事前に把握することで、後からの金銭的な理由によるキャンセルを防げます。

家賃発生日・入居可能日

「いつから家賃が発生するのか(家賃発生日)」と、「いつから住めるのか(入居可能日)」を確認します。

現在の家の退去日との間に無駄な「二重家賃」が発生しすぎないか、リフォームの完了予定日は自分の引越し希望日と合っているかを確認してください。

短期解約違約金

「敷金・礼金ゼロ」や「フリーレント」などの魅力的な条件がついている物件は、一定期間内に解約した場合の違約金が契約上定められていることがあります。

契約前に短期解約違約金の有無や金額、対象となる期間を確認しておきましょう。

退去時クリーニング費用

退去時にいくら支払うことになるのかも重要です。

定額で「退去時に〇万円」と決まっているのか、実費精算なのか。これも初期費用と同じく、契約の重要な判断材料になります。

周辺環境・騒音・日当たり

内見時だけでなく、可能であれば「夜」や「休日」にも物件の周辺を歩いてみてください。

「夜は暗くて怖い」「休日は隣の道路の交通量が激しい」など、内見時(平日昼間)には気づかなかったデメリットを発見でき、後悔を防ぐことができます。

同居人・家族の了承

親に連帯保証人を頼む場合や、同棲・ルームシェアをする場合は、「申し込む前に」必ず関係者全員の合意を得てください。

事前に関係者の了承を得ておくことで、申込み後のキャンセルを防ぎやすくなります。

本当にその物件で進めてよいか

最後に、申込書にペンを入れる前に「他の物件を見なくて後悔しないか」「毎月の家賃を本当に払い続けられるか」を自分自身に問いかけ、納得した上で申し込むことが、一番のキャンセル対策です。

貸主・管理会社側が申込をキャンセルするケース

ここまで借主(あなた)都合のキャンセルについて解説してきましたが、逆に「大家さんや管理会社側からお断りされる(キャンセルされる)」ケースもあります。

入居審査に通らなかった

貸主や管理会社側からお断りされるケースとして代表的なのが、保証会社や貸主側による入居審査で「お見送り(審査落ち)」となってしまうパターンです。

明確な審査基準は公表されていませんが、一般的には収入に対する家賃のバランスや、過去の滞納歴などが考慮されると言われています。なお、万が一審査に落ちてしまった場合でも、その具体的な理由は原則として開示されない(教えてもらえない)場合が多いです。

申込内容に虚偽や不備があった

申込書に嘘の年収を書いたり、存在しない勤務先を記載したりしたことが審査の過程で発覚した場合、即座にキャンセル扱いとなります。

虚偽申告は絶対にバレるのでやめましょう。

必要書類の提出が遅れた

審査に必要な身分証明書、収入証明書、内定通知書などの書類の提出を求められているにもかかわらず、長期間放置していると、「契約の意思がない」と判断されて申し込みを白紙に戻されることがあります。

家賃発生日や契約条件が合わなかった

あなたが「家賃発生日を1ヶ月先にしてほしい」「家賃を5,000円下げてほしい」と交渉した場合、大家さんが「その条件なら貸したくない(他の条件の良い人に貸す)」と判断し、交渉決裂としてキャンセルされるケースです。

先に別の申込者で契約が進んだ

人気の物件では、複数の人から申込みが入ることがあります。一般的に、先に申し込んだ人を「1番手」、次の人を「2番手」と呼びます。

1番手の申込者が契約を成立させた場合、その物件について2番手の申込みを進めることはできなくなります。

一方、1番手が審査に落ちたり、契約前にキャンセルしたりした場合は、2番手の申込みが進むことがあります。

そのため、申込み後にキャンセルする場合は、できるだけ早く不動産会社へ連絡することが大切です。

賃貸申込キャンセルに関するよくある質問

最後に、賃貸の申込キャンセルに関してよくある疑問にQ&A形式でお答えします。

賃貸の申込キャンセル率はどれくらいですか?

国土交通省などによる公的な統計データは存在しないため、明確なパーセンテージを出すことはできません。しかし、不動産実務において「申込後のキャンセル」は日常的に発生しており、決して珍しいことではありません。

特に引越しのハイシーズン(2月〜4月)には、とりあえず部屋をキープしようと急いで申し込む人が増えるため、他の時期に比べてキャンセルが多く発生する傾向にあります。

賃貸申込後にキャンセルしても大丈夫ですか?

契約成立前であれば、ペナルティなしでキャンセル可能です。ただし、不動産会社や大家さんに迷惑をかけることには変わりないため、決断したら一刻も早く連絡することが重要です。

※契約成立の有無は契約書への署名・捺印だけで一律に判断できないため、キャンセルを希望する場合は早めに不動産会社へ確認しましょう。

審査通過後でもキャンセルできますか?

審査通過後でも、”賃貸借契約が成立していなければ”申込みのキャンセルは可能です。

ただし、審査通過=契約成立ではありませんが、契約成立の時期は個別の状況によって異なります。キャンセルを決めたら、できるだけ早く不動産会社に確認しましょう。

契約前にキャンセルしたらお金は返ってきますか?

特に、契約前に支払った「申込金」「申込証拠金」「予約金」などの預り金は、契約が成立しなかった場合、不動産会社は返還を拒むことができません。

ただし、重要なのは「本当に契約が成立していないか」を確認することです。契約の成立は署名・捺印の有無だけで判断できるとは限らないため、キャンセルする際は、不動産会社に契約の成立状況と支払ったお金の扱いを確認しましょう。

申込キャンセルでブラックリストに載りますか?

クレジットカードやローンの審査に影響する「金融ブラックリスト」に載ることはありません。

ただし、悪質な無断キャンセルなどをすると、その不動産会社や保証会社の社内リストに残り、次回以降の審査で不利になることはあります。

キャンセル理由は正直に言うべきですか?

基本的には正直に簡潔に伝えて構いません。

「他に良い物件が見つかった」「予算が合わなかった」など、事実を伝えることでスムーズに手続きが終わります。嘘をつく必要はありません。

申込後に他の物件へ変更できますか?

同じ不動産会社で別の物件に変更することは十分に可能です。

「審査中に他の物件が気になり始めたので、そちらに変更したい」と相談すれば、担当者も再提案の手続きを進めてくれます。

まとめ

賃貸の申込キャンセルは、誰にでも起こり得ることであり、決して珍しいことではありません。大切なのは「いつ、どのように伝えるか」です。

  • 契約書締結前ならキャンセル可能
  • 預けた申込金(預り金)は全額返金される
  • 決断したら1秒でも早く、電話とメールの両方で担当者に連絡する
  • 無断キャンセル(音信不通)は絶対にやめる

「せっかく動いてくれたのに申し訳ない…」という気持ちはとても大切ですが、数年間にわたって高い家賃を払い続けるのはあなた自身です。迷いや不安があるまま無理に契約して後悔するよりは、勇気を出して誠実にキャンセルを申し出る方が、結果的に双方にとって良い選択となります。

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