私が不動産業界で働き、その後に起業するきっかけとなった出来事について少し語らせて下さい。
21歳の時に自分を変えたくバック片手に上京をしてきて、家探しで不動産屋を巡っていた時の事です。
当時おとり物件ばかりにはまり、理想の物件に出会う事ができず不動産屋に行くのが嫌になってました。そんな私を見かねて兄が知り合いの不動産屋を紹介してくれました。
そこの不動産屋の人(現:ホンネ不動産 取締役 角名)に、不動産屋に対しての不満や費用が不透明で信用できない事など沢山相談したら、今まで聞いた事のない「おとり物件の話や費用上乗せなどの裏話」などを沢山教えてくれ、それと同時に「僕はこの業界を変えたいんだ」と熱く語ってくれました。
その話に心を打たれて話を聞いている内に ”自分も一緒にこの業界を変えていきたい” という感情が込み上げてきて、その場で「働かせて下さい」と伝え、働かせてもらう事になりました。これが不動産業界に飛び込むキッカケとなったでき事です。
その後、お客様にご迷惑をおかけして怒られた事も多々ありましたが、お客様が喜んでいる姿をダイレクトに見れるこの”賃貸仲介の仕事”が楽しくて、初めて自分の仕事にやりがいを感じ誇りを持って働く事ができました。
そして「もっと不動産業界を知りたい!」漠然とそう思い、大手デベロッパーに転職。マンション用地の仕入れ〜事業計画を全てやる事になり、賃貸仲介とは全く違う畑で環境の変化に驚きながらも毎日ワクワクでした。ですが、社風や働き方が自分には合わず精神的にも肉体的にも段々と疲弊していき鬱病の手前くらいまで追い込まれてる自分に気づき、入社して10ヶ月で退職。
仕事をする意欲というのが正直湧かなくなっていて、賃貸仲介やってた時の「不動産業界を変えたい」という熱い思いは消え、「もう不動産業界で働きたくない」とさえ思っていました。
『自分は何をしたいのか?』『どこに向かってるのか?』『何者なのか?』さえわからなくなり、色々彷徨う毎日。たまたま昔お部屋を契約してくれたお客様から相談の連絡があり、お部屋探しのアドバイスをしました。その時に凄くイキイキとしてる自分に気づいて、仕事が楽しかった頃の記憶が一気に蘇りました。
「誰かに喜んでもらえる仕事がしたい。」「また賃貸仲介の仕事がしたい。」そう思いました。
また不動産の仕事をするのであれば、誰かの役に立つサービスで喜ばれる仕事がしたいし、以前働いていた時に感じていた業界の悪い部分を変えていけるようなサービスをやってる会社で、フレキシブルに働け、お客様と従業員を大事に考える会社を1ヶ月間ほど探したのですが働きたい会社が見つからず。
そんな時に、働きたい会社が無いなら「自分で会社を作れば良いんだ!」と思い会社を作る事を決意。ぼんやりと、「いつか起業したい」と考えていたので、その「いつか」を「今実現しよう!」と自分を奮い立たせ決断。半年後に(株)MIRANOBEを設立、一人で会社を立ち上げました。
会社を立ち上げる迄の半年間は、個人事業主として賃貸の仲介をやりながら、マーケティングや経営関連の勉強を沢山しました。そこでまずぶつかった壁は、「賃貸仲介で個人事業主をやる=集客〜営業〜付随業務」全てを自分でやるという事でした。
フルコミという働き方は以前からもありましたが、集客が安定しないと収入が0円になる為そこがネックで、ある程度のリピーターや紹介顧客がいる人じゃないと「この働き方は難しい」と感じました。それと同時に、逆にこの”集客”が安定してできるサービスがあれば「賃貸仲介でも個人が活躍する時代を作れる!」とも思いました。
実際に、スマホとパソコンさえあれば、家やカフェ等どこでも仕事ができ、自分の働きたいタイミングで動ける為、会社員時代に感じていた労働生産性の低さや労働時間が長い割に給料が低いという不満も個人で働いて解消する事ができました。
お客様に喜ばれるサービスで、この働き方をスタンダード化する事ができれば「顧客側の課題」と「働く側の課題」を両方とも解決する事ができ、みんながより幸福になれると思いました。これを実現する為に、仲介手数料0円〜契約できる「一律報酬の不動産屋ichikari(イチカリ)」を作り、反響問合せを働く個人エージェントに送客するシステムにしました。並行してSNS発信に力を入れていき、沢山の方にフォローを頂き、そのおかげで問合せ数も増えていき、働きたいというエージェントも増え、皆んなのおかげで会社が軌道に乗っていきました。
そして、法人3期目に入ったあたりで、恩師である角名と以前から何度か飲みに行く事があり、毎回仕事に対しての思いなどをお互いに語っていました。向かっていきたい方向性や事業内容も似ていた為、一緒にやればより事業をスケールする事ができると思いました。
「一緒にまたやりませんか?」と打診し、話し合いを重ね、23年6月に一緒に事業をやっていく事になり、不動産事業をホンネ不動産の方に移行して事業統合をしました。そして私が代表にに就任し、角名が取締役会長に。
正直、お互い別々に会社を続けていたとしても事業成長はできたと思うのですが、本気で「お客様と働く人の課題を両方とも解決できるサービス」で業界を変えていきたいと思ったので、「一緒にやる事でより加速する事ができる」というのと、「同じ志を持った熱い人たちと本気の仕事をたい」と思い統合を決めました。
今後の会社の方向性として、まずは「仲介手数料0円〜本音を聞きながら部屋探し」このサービスで、物件探しで失敗するお客様を減らしていき、不動産業界に染み付いてる「ぼったくられそう」や「騙されそう」などの悪いイメージを変えていきたいです。
その為にも、過度に値段を安くして価格競争に走ったりするのではなく、適正な価格で透明性のあるサービスで部屋探しで失敗するお客様を不動産のプロとしての「提案」で導いていき、お客様にご満足頂けるサービスを追求していきます。
どこの不動産屋も扱ってる物件はほとんど一緒だからこそ、「物件」を商品として売ると差別化ができません。物件選びで大事なのは「人」です。商品にすべきなのはお客様の視点に立ってプロとしてしっかり提案する「人」だと私は思っています。
今の時代、ただの物件紹介だけならAIに代替できるし、そっちの方が早い。そんな時代だからこそ「人」にしかできない深いコミニケーションでお客様の不満や悩みを聞いて解決する為に「提案」をする。そこに価値があるからお客様に選んで頂けると思うので、そういった本音でお客様に向き合いながらプロとしての提案ができるエージェントを増やしていきます。そして、正直ものが勝つ時代を私たちが作ります。
株式会社ホンネ不動産 代表取締役 中野由妃絵
引っ越し、それは人生のターニングポイント。
お部屋選びには、それこそ、お客様の人生がかかっています。
しかし皆様は、不動産屋に対し、どういったイメージをお持ちですか?
「あやしい」とか「近寄りがたい」という、あまりよくないイメージをお持ちではないでしょうか。
ある意味、それは正しいです。どういうことかというと、それは、“お客様をお金でしか見ていなかった”のです。
売上のために、単価が高い部屋を、いかにしてお客様を説き伏せ、決めてもらうか、ただそれだけだったのです。
これでは悪いイメージを持たれても、仕方がありません。
私は常々、それではいけないと感じていました。
そして、大きな誓いを立てました。
“決して嘘をつかないこと”
これだけです。
私たちは、不動産業界の仕組みをきちんとお客様に伝えた上で、しかるべき料金しかいただきません。
たったこれだけのことで、お客様は「すごい!こんなに安くなった!」とか、「ここって本当に不動産屋ですか?」と言ってくれるんです。
私たちの願いは、不動産業界のイメージを変えていくこと。
おかげさまで、私たちの取り組みは徐々に認知され、多くのお客様に喜んでいただくと同時に、ご紹介のお客様が次々とご来店されています。
不動産屋さんは通常、“お客様目線”を持つことは少ないです。
それは物件のオーナーさんや、社内売上です。
私たちは、「嘘をつかない」ことを決めました。そうすることによって初めて、物件のメリットもデメリットも、お客様に正直にお伝えすることができるようになったのです。
特に私は、従業員には、「(物件の)デメリットを伝えなさい」と言っています。
お客様が聞きたいのは“本当のこと”ですから。
一階で路面だから安いとか、日当たりがないとか、建物の構造や、騒音、匂いに至るまで、見えないところを、私たちは“プロ”として、きちんとお客様に伝えます。
だからこそ、お客様の満足に繋がっているのです。
ではなぜ私たちは、嘘をつくことなく、プロとしての正しい意見を、きちんとお客様にお伝えできているのか?
それは、ちょっと難しい話になりますが、仲介手数料の“受領分を均一化”しているからです。
早い話が、そこに不動産業者としておいしい条件があったとしても、決して乗らない、というスタンスを貫いているのです。
ですから私たちは、お客様を、こちらが契約して欲しい部屋へと誘導することはありません。
これによって初めてお客様は、プロの目線から見た公平で正しい意見を聞くことができ、その上で自由に部屋を決めることができるのです。
すみません、突然ラーメンとか言い出して。でも、不動産業も同じだと思っているのです。
近頃のお客様は、住む部屋を賃貸サイトで探すのが、当たり前だと信じています。たとえ、たどり着いた先で、あまりおいしくないラーメン(よくないサービス)に出会ったとしても、そのラーメンがあまりおいしくないことに、気づいていないのです。
お店のほうも、これでお客様がくるのであればと味を占め、いつまでもおいしくないラーメンを提供し続ける。
…これって不幸なことだと思いませんか?
私たちは、不動産業界を変えていこうと思っています。
ラーメン店で例えると、“本当においしいラーメン”を追求し続ける、ということです。
そのためには、業界の仕組みを全部さらけ出すしかないのです。もちろん私たちも、この路線を歩み始めるようになって、最初からうまくいっていたわけではありません。
ですが、不動産業を通して、お客様を裏切らず、真の意味で役に立つという、ごく単純な原理原則を貫いていくと、お客様は確実に、私たちのほうを選ぶようになってくれました。
私の言葉です。
一緒に不動産業界を変えていきましょう。
力を合わせて「伝説」を作れば、その時、不動産業界は変わっています。
株式会社ホンネ不動産 取締役会長 角名達矢