法人契約(借上社宅)で賃貸物件を借りる際、総務・人事担当者や入居する社員が最も疑問に思いやすいのが「家賃の支払いフローと負担割合」についてです。
この記事では、不動産実務と一般的な社宅管理のルールに基づき、法人契約における家賃の支払い方法や、会社負担・社員負担の違い、導入時の注意点などをわかりやすく解説します。
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賃貸の法人契約では家賃を誰が支払う?

結論から言うと、貸主(大家さんや管理会社)に対して家賃を直接支払うのは、契約者である「会社(法人)」です。
法人契約は、会社が貸主と賃貸借契約を結び、その部屋を自社の社員に貸与する(住まわせる)という仕組みです。そのため、法的な支払い義務はすべて会社側にあります。
社員が家賃の一部を負担する場合であっても、社員が直接大家さんに振り込むのではなく、「会社が大家さんに全額支払い、後から社員の負担分を会社が徴収する」というお金の流れになるのが一般的です。
法人契約の主な家賃支払い方法
社員が住む物件の家賃について、会社と社員の間でどのように負担・精算を行うのか、主な4つのケースを解説します。
会社が全額支払うケース
家賃の100%を会社が負担し、社員の自己負担をゼロにするケースです。
役員向け社宅や一部の福利厚生制度で採用されることがありますが、税務上の観点から「完全無料」にする企業は少数派です。
会社が一部負担するケース
最も一般的なのが、家賃の数割を会社が負担し、残りを社員が負担するケースです。「会社が家賃の80%を負担し、社員が20%を負担する」といった社宅規定を設ける企業が多く見られます。
国税庁の規定に基づいて算出された『賃貸料相当額』以上を社員から徴収していれば、通常は給与として課税されません。そのため実務上は、会社が家賃の大部分を負担し、社員が一定額を負担する借上社宅制度を採用する企業が多く見られます。
社員が給与天引きで負担するケース
社員が負担する分の家賃の「徴収方法」として最も多く採用されているのが、給与天引きです。
会社が大家さんに家賃を全額支払った後、毎月の給与計算の際に、社員の自己負担分を差し引いて給与を支給します。会社側にとっては確実に徴収でき、社員側にとっても振込の手間が省けるため、双方にメリットがあります。
社員が会社へ自己負担分を支払うケース
給与天引きのシステムを組んでいない場合などに、社員が自社(会社)の銀行口座へ、毎月自己負担分の家賃を振り込むケースです。
ただし、この方法は毎月の振込手数料が発生するほか、経理担当者の入金確認の手間が増え、振込忘れのトラブルも起こりやすいため、実務上はあまり推奨されません。
法人契約と個人契約で家賃支払いはどう違う?
「個人契約をして会社から家賃補助(住宅手当)をもらう場合」と、「法人契約(借上社宅)にする場合」の家賃支払いの違いを表にまとめました。
| 比較項目 | 個人契約(家賃補助・住宅手当) | 法人契約(借上社宅) |
| 貸主への支払者 | 社員(入居者本人) | 会社(法人) |
| お金の流れ | 会社から社員へ手当を支給 → 社員から貸主へ家賃を払う | 会社から貸主へ家賃を払う → 会社が社員から負担分を徴収 |
| 税金の扱い | 住宅手当は「給与」となり、 所得税や社会保険料が上がる | 規定額を徴収すれば給与にならず、 所得税や社会保険料が上がらない |
| 滞納時の責任 | 社員個人 | 会社(法人) |
借上社宅で家賃を会社負担にするメリット

会社が家賃を負担する「法人契約(借上社宅)」は、単に現金で家賃補助(住宅手当)を支給するよりも、税務面や社会保険料の面でコスト削減のメリットが期待できます。
- 社員の税負担が減る(手取りが増える)
現金で支給される住宅手当は「給与」として扱われるため、所得税・住民税・社会保険料が高くなります。法人契約で家賃を現物支給(会社負担)にすれば、給与額は上がらないため、結果的に社員の手取り額が増えます。 - 会社の社会保険料負担が減る
社会保険料は会社と社員で折半して支払います。社員の給与(標準報酬月額)が上がらなければ、会社が負担する社会保険料(法定福利費)も抑えることができます。 - 会社負担分は「経費(損金)」になる
借上社宅として会社が負担する家賃は、一般的に『地代家賃』として経費(損金)に算入されます。そのため、利益が出ている企業においては、住宅手当を現金で支給する場合と比較して、結果として税務上有利(法人税の負担軽減など)になるケースがあります。
法人契約の家賃支払いで注意すべきポイント
法人契約を導入する際、家賃支払いをめぐる社内トラブルや貸主とのトラブルを防ぐための注意点を解説します。
社宅規定を事前に決めておく
「役職ごとの家賃上限額」「会社が負担する割合」「対象となるエリアや広さ」などのルールを定めた『社宅管理規定』の作成が必須です。これを明確にしておかないと、社員間で不公平感が生まれ、労務トラブルの原因になります。
社員負担分のルールを明確にする
家賃以外の費用を誰が負担するのかも明記する必要があります。
- 共益費・管理費: 家賃に含めて計算するのか?
- 駐車場代: 会社負担か、全額自己負担か?
- 水道光熱費・インターネット代: 基本的には社員の直接契約・自己負担とするのが一般的です。
振込名義・支払い遅延に注意する
貸主(管理会社)へは、必ず「契約時に取り決めた方法」で家賃を支払う必要があります。振込名義が契約者名と異なる場合は、入金確認(不明金扱い)のトラブルを防ぐためにも事前に管理会社へ共有しておくと安心です。
また、経理の支払いサイクルと、賃貸契約上の「家賃支払い期日(例:毎月27日)」が合わない場合、遅延損害金が発生する恐れがあるため事前の確認・調整が必要です。
退職時の家賃精算に注意する
入居している社員が退職した場合のルールも重要です。
- 退職日をもって速やかに退去させる
- 個人契約へ切り替える(再審査や新規契約が必要になる場合あり)
このどちらかの対応が必要になります。再契約の場合は初期費用が改めて発生するケースが多いため、事前の規定が重要です。
法人契約・借上社宅の家賃支払いで迷ったら専門会社に相談がおすすめ
法人契約における家賃支払いは、お金の流れ自体はシンプルですが、税務上の「賃貸料相当額の計算」や「社宅規定の整備」、「給与天引きの労務手続き」など、専門的な知識が求められる場面が多々あります。
「自社に最適な家賃負担割合を知りたい」
「トラブルにならない社宅規定を作りたい」
「物件探しから支払い管理までアウトソーシングしたい」
このようなお悩みがある場合は、法人契約の実務に強い不動産会社へ相談するのが確実です。
ホンネ不動産法人部では、法人契約・借上社宅・社宅制度導入の専門的なサポートを行っています。
「社宅仲介と契約手続き支援」をワンストップでご提供。会社も社員も"得をする仕組み"を不動産のプロが一緒に整えます。
よくある質問(FAQ)
法人契約の家賃は会社が払うのですか?
はい。契約上、貸主(大家さん)に対する支払い義務は契約者である「会社」にあるため、毎月の家賃は会社から貸主へ支払われます。
社員が家賃を一部負担することはありますか?
企業によって異なりますが、全額会社負担(無償貸与)は給与課税の対象となってしまうため、『一定額の自己負担』とするケースが一般的です。
実務上の相場としては、家賃の10〜50%程度を社員の自己負担とする社宅規定を設けているケースが多く見られます。
法人契約の家賃は給与天引きできますか?
可能です。会社が貸主に家賃を全額支払った上で、社員の自己負担分を毎月の給与から天引きして徴収する方法が最も一般的です。
家賃補助と借上社宅は何が違いますか?
家賃補助(住宅手当)は「社員が個人契約した物件に対し、会社が現金で手当を支給する」仕組みです。借上社宅(法人契約)は「会社が契約した物件に社員を住まわせ、家賃の一部を会社が負担する」仕組みであり、借上社宅の方が税金や社会保険料の面で有利になります。
退職時の家賃支払いはどうなりますか?
退職日以降の家賃は会社負担の対象外となります。そのまま退去するか、社員自身が個人で再契約(名義変更)をして家賃を全額自己負担して住み続けるか、社宅規定に従って処理が行われます。
まとめ:法人契約の家賃支払いは「会社が一括支払い・給与天引き」が基本
少し複雑に感じやすい「法人契約のお金の流れ」について、最後に大切なポイントを簡単におさらいしておきましょう。
- 大家さんへ家賃を直接払うのは「会社」
- 社員の負担分は「給与天引き」にするのが一番スムーズ
- 全額会社負担(社員負担がない)の場合は給与課税が発生する可能性があるため、一定の自己負担を設ける企業が一般的
- 現金(住宅手当)支給よりも、双方の税金・社会保険料を抑えやすい
法人契約は会社と社員の双方にメリットが大きい制度ですが、いざ導入するとなると「うちの会社は何割負担がベスト?」「どんな社宅ルールにすべき?」と悩んでしまうことも多いです。
もし制度づくりや物件探しで行き詰まってしまったら、無理に社内だけで抱え込まず、法人契約に強い不動産会社に頼ってみてください。
ホンネ不動産法人部では、法人契約・借上社宅・社宅制度導入の専門的なサポートを行っています。
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